Kitchen を使う準備

Kitchen とは

Vagrant、EC2、Docker Engine など、任意のインスタンスを立てて、その中で Cookbook の動作を試行できるツールです。
http://kitchen.ci/ 

 

今回は高速・軽量な Docker Engine のインスタンスで Cookbook の動作チェックをしていきます。

Docker Engine は Linux でのコンテナ型の仮想化を提供するツールです。

ハイパーバイザ型がマシンそのものをエミュレートするのに対し、コンテナ型の仮想化ではホストマシンのカーネル上に独立したユーザー空間を構築するのにとどまります。

ハイパーバーザ型と比較すると、コンテナ型の仮想化はホストのもつリソースをほぼそのまま扱えるため、より軽量・高速に仮想化を実現できます。

また、Docker Engine ではコンテナの差分管理が可能です。
たとえば、いちど CentOS をインストールしたコンテナをつくってしまえば、CentOS + apache や CentOS + MySQL などのコンテナを構築するときに毎回 CentOS をインストールする必要はありません。

Kitchen で Docker Engine を利用するには、kitchen-docker のインストールが必要です。
ChefDK を利用している場合は、次のコマンドでインストールできます。（開発環境にはインストール済みです） 

chef gem install kitchen-docker

 

.kitchen.yml の編集

Kitchen でインスタンスを立てて Recipe を実行するには、.kitchen.yml を編集します。

---
driver:
  name: docker

provisioner:
  name: chef_zero

platforms:
  - name: centos
    driver_config:
      image: centos:centos6
      forward: 8080

suites:
  - name: default
    run_list:
      - tar
      - java
      - jenkins
    attributes:
      java:
        install_flavor: oracle
        jdk_version: 7
        java_home: /usr/java/default
        oracle:
          accept_oracle_download_terms: true

driver

標準では vagrant ですが、開発サイクルを早くまわすために、より軽量・高速な docker を使用します。

driver_config

kitchen-docker の設定を書きます。

image

ベースとする docker image の名前を指定します。
利用できる image 名は Dockerfile の FROM 句 で指定できるものと同じです。

forward

ホストマシンにフォワーディングするポート番号を指定します。
この例では jenkins が使用する 8080 ポートがホストマシンから見えるように指定しています。

run_list

実行する Recipe を指定します。
この例では自作した jenkins Cookbook の Recipe を指定しています。

ただ、Jenkins の動作には Java が必要ですので、Opscode Community の java Cookbook、tar Cookbook（java Cookbook の動作に必要） も指定しています。
※ 外部の Cookbook を使用するには後述する Berksfile の編集が必要です。

attributes

Recipe にわたす Attribute （Recipe に対するパラメータのようなもの）を指定します。
今回は java Cookbook の Attribute を指定しています。

 

Berkshelf とは

Cookbook の依存関係を解決してくれるツールです。
http://berkshelf.com/

設定ファイル（Berksfile）に使いたい Cookbook を定義しておくと、その Cookbook が依存する Cookbook を含めて再帰的に Git や Opscode Community からとってきてくれます。

Ruby の Bundler と似ているらしいです。（Ruby わからないですし、Bundler も使ったことないですが）

 

Berksfile の編集

Opscode Community の Cookbook であれば、次のように名前を指定するだけで OK です。

source "https://api.berkshelf.com"

cookbook 'tar'
cookbook 'java'
metadata


Opscode Community 以外の Cookbook を使うには次のように書きます。

# ローカルファイルシステム
cookbook 'pvpnet', path: '/Users/reset/code/riot-cookbooks/pvpnet-cookbook'
 
# Git リポジトリ
cookbook 'mysql', git: 'git://github.com/opscode-cookbooks/mysql.git'

 

Kitchen インスタンスの起動とプロビジョニング

次のコマンドを実行すると、.kitchen.yml に基づいたインスタンスが起動し、Recipe が実行されます。

$ kitchen setup


成功したら、Kitchen インスタンスにログインしてみてください。

[vagrant] $ kitchen login
kitchen@localhost’s password: kitchen

※ パスワードは 'kitchen' のようです。


ログインできたら、Recipe が期待通りに動作したか確認してみてください。

[kitchen] $ sudo service jenkins status
jenkins (pid  1647) is running...

[kitchen] $ sudo grep JENKINS_USER /etc/sysconfig/jenkins
JENKINS_USER="kitchen"
 
[kitchen] $ stat --format='%a %U:%G %n' /var/*/jenkins
750 kitchen:kitchen /var/cache/jenkins
755 kitchen:kitchen /var/lib/jenkins
750 kitchen:kitchen /var/log/jenkins

[kitchen] $ exit

 

うまくいっていない場合は、Cookbook を修正し、再度プロビジョニングを行います。

$ kitchen converge


どうしてもうまくいかない場合は Kitchen インスタンスを破棄してからプロビジョニングを行います。

$ kitchen destroy
$ kitchen setup

 

kitchen の主なコマンド

# インスタンスの生成
kitchen create

# Chef-Solo のインストールと初回のプロビジョニング
kitchen setup

# プロビジョニング
kitchen converge

# Serverspec の実行
kitchen verify

# ssh ログイン
kitchen login

# インスタンスの破棄
kitchen destroy

 

Web ブラウザで Jenkins にアクセス

docker コマンドでコンテナのポートを確認します。

$ docker inspect --format='{{.NetworkSettings.Ports}}' `docker ps -n=-1 -q`
map[22/tcp:[map[HostIp:0.0.0.0 HostPort:49153]] 8080/tcp:[map[HostIp:0.0.0.0 HostPort:49154]]]

コンテナの 8080 ポートがホストの 49154 にフォワーディングされていることが確認できます。
Firefox などの Web ブラウザで http://localhost:49154/ にアクセスしてみてください。
Jenkins の画面が表示されていれば成功です。